アルコールの発癌危険性

2018年1月11日イギリスのケンブリッジ大学の研究チームが,アルコールの摂取がDNAを破壊しガンのリスクを高めると科学雑誌「nature」に発表しました.以前からアルコール摂取が癌のリスクを高めるのではないかと指摘されていましたが,どうして発がん性を高めるのかのメカニズは解明されていませんでした.ケンブリッジ大学のパテル教授らは実験マウスにアルコール(エタノール)を投与して,生体での臓器の反応を確認し,エタノールがDNAの二重鎖を切断しDNA配列が元に戻らない状態になることを確認しました.

アジア人はもともとお酒に弱い民族ですが,アルコールを摂取したあとにアルコールが分解されてできるアセトアルデヒドは神経毒であることは以前から知られており,これがひどい二日酔の原因になると言われています.二日酔のみならず,このアセトアルデヒドはDNAの損傷を引き起こすので,これを分解するアセトアルデヒド脱水素酵素の活性が低いアジア人では,効率的にアセトアルデヒドを分解できないので,分解できる人(お酒の強い人)に比べて,DNA損傷が起こりやすく,発癌の危険性が高いということになります.

アルコールと関係が深い癌の種類として,

口腔がん

咽頭がん

食道がん

乳がん

肝臓がん

大腸がん

が挙げられます.これらの癌の発がん性のリスクはアルコールの種類とは無関係で,ワインでも,蒸留酒でも危険性は同じだと言われています.アセトアルデヒドの分解能力の高い人は一般的にお酒に強く,顔色の変わらない人が多く,残留アセトアルデヒドによるDNA損傷の危険性が低いのでお酒の強い人は発がん性も低そうですが,発がん性に関しては安全な飲酒量などないとも言われており,強い人でも注意が必要です.

はっきり言えることは,アルコールを飲んで顔が真っ赤になる人はアルコールによる発がん性が高い人ということになりそうなので,飲酒については用心が必要だといえます.