何かと悪者にされるコレステロールですが,体の機能を維持し命をつなぐために必須の栄養素なのです.

コレステロールは主に3つの経路から体内に補給されます.一つは食餌性に小腸から吸収されるもの,胆汁として肝臓から消化管内に分泌され,再度小腸から給されるもの,肝臓内で新たに合成されるもの,です.

 

食餌に含まれる脂肪は,その多くが中性脂肪(トリグリセリド)の形をとり,十二指腸で胆汁によって乳化され,膵臓から分泌されるリパーゼによってモノグリセリド,脂肪酸,グリセロールに分解されます.モノグリセリドや脂肪酸はそのままでは小腸粘膜から吸収できないので,胆汁酸の働きより親水性の高いミセルという状態になり小腸粘膜上皮細胞に取り込まれます.この乳化したモノグリセリドや脂肪酸はタンパク質と結合しカイロミクロンというリポタンパクとなり,主にリンパ管から吸収されゆっくりと体循環に入り,肝臓に戻ります.肝臓に取り込まれたカイロミクロンはVLDL(Very Low Density Lipoprotein)となり,血中に放出され,全身に中性脂肪を運びます.肝臓内でVLDLはLDLへと変化し,全身にコレステロールを運びます.HDLは小腸や肝臓で合成され,全身の末梢組織から余分なコレステロールを肝臓に戻す働きをします.

食物に含まれるコレステロール自体は胆汁酸でつくられたミセルのみでは乳化出来ないため,消化により中性脂肪が分解されて出来たモノグリセリドと胆汁酸が混合した混合ミセルにより腸管から吸収されます.

 

こうして,体内に取り込まれたコレステロールですが,コレステロールには重要な役割があります.

1)細胞膜の構成成分である

細胞膜は細胞野内外を隔てる重要な隔壁であり,部屋の壁のようなものですが,壁とは異なり内外を完全に隔てているのではなく,物質やエネルギーを自動的に出入りさせる重要な機能を持っています.その材料になるのがコレステロールです.

2)神経の材料

我々の体内に存在するコレステロールは,その1/4が脳にあり脳内を無数に連絡する神経線維を包む鞘を作っています.これをミエリン鞘といいます.ミエリン鞘のおかげて神経線維が保護され,高速な電気信号の伝達と電気の絶縁機能を維持しています.

3)ホルモンの材料

 

コレステロールは体内で生成されるホルモンの材料となります.副腎や清掃,卵巣で生成されるステロイドホルモンは命を維持するために必須のホルモンであり,これらのホルモンが枯渇すれば人間は生きて行けないのです.

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コメント: 1
  • #1

    金子久江 (木曜日, 05 10月 2017 10:05)

    コレステロールがたかく、20年近く薬を飲んでいます。最初は下がりましたが、7年前から下がらなくなりました。家族性の物だろう。というお話で、同じお薬と量です。今は脳動脈留で、上山先生に連絡し。話がすすんでおります。ここまで来るまでに、お薬を変える必要性はなかったのか?ここ何年か不信に思い、今年脳動脈留が発見され。やはりとおもいました。もちろん食生活もですが
    後悔ばかり。の後半の人生です。
    検診の後どうするか?考えながら生きるべきでした。今は反省の日々です。上山先生にすがるしかありません。最後はこうなると!